Scrivenerは万能ではありません。しかし、かなり広い要望を満たせるように作られています。
不向きな用途のリストもあげているので、あわせてご覧ください。
原稿と資料の両方を1か所で管理したい
官公庁発行の資料のような他人が作ったものと、登場キャラクター一覧のような自分で作ったものの両方を、原稿と一緒にして管理できます。表示はできませんが、Excelなどほかのアプリのファイルも一括管理できます。別のマシンで執筆したいときや、執筆を終えてバックアップしたいときは、MacならFinderでファイルを1つ、Windowsならエクスプローラーでフォルダを1つ移動すれば完了です。
執筆中は資料をたくさん並べたい
原稿とは別に資料を表示するウインドウをいくつでも開くことができます。ウインドウを散らかしたくない場合は、エディタウインドウを分割して開くこともできます。
原稿の順序を手軽に組み替えたい
原稿のテキストは、好きなだけ分割して、順序や階層をドラッグ&ドロップで自由に組み替えられます。章ごと、節ごとのような目次を基準としたものだけでなく、ある段落だけ、ワンシーンだけを分割しておけば、別の章へ移動することも簡単です。あまり細かく分割しなくても、ワープロで1章ごとにファイルを分けるよりもずっと全体の見通しがよくなります。もしもDTMやDTVの経験があれば、シーケンスやフッテージを組み立てて作品をつくるように、文章を組み立てられるといえばイメージしやすいかもしれません。
エディタ画面は2つほしい
本文を執筆するエディタ画面は、2つに分割できます。これにより、同じ原稿の別の部分を表示しながら、原稿を書き進められます。エディタ画面では複数のテキストを連結して表示できるので、前後のつながりを確認しながら執筆できます。
あれこれ考えるより、まず書きたい
断片を書き散らして後から組み立てる場合は、Scrivenerは大変向いています。もともとScrivenerは、原稿を分割して組み替えられる作りになっているからです。あとからそれぞれに属性を付けられるので、書き散らした断片を分類するのに役立ちます。プロットなんか作れないという方にこそ向いています。
書く前に、あれこれ考えたい
前項とは逆に、本文を書く前に構成をしっかり考えたい場合にも、Scrivenerは大変向いています。情報カードを画鋲止めするようなコルクボード表示と、箇条書き式のアウトライン表示の、どちらからでも構成を考え始められます。OPML形式のファイルを読み込めるので、内蔵機能を使わずに、マインドマップやアウトライナーを使う場合にも対応します。できあがった構成のそれぞれの部品は、そのまま本文を書くためのテキストファイルになるので、スムーズに本文執筆へ移れます。
原稿に自分用のメモを付けたい
Scrivenerでは分割した原稿のそれぞれの属性として、さまざまなメモを付けられます。具体的には、ラベル、ステータス、概要、注釈、キーワード、さらには、日付やチェックボックスなどの書式を自分で設定できるカスタムメタデータもあります。読者には見せない著者のためスペースがたくさんあることが、Scrivenerの特徴の1つです。もちろん、特定範囲の本文にメモを付ける、ワープロでおなじみのコメント機能もあります。
原稿の履歴を保存したい
分割した原稿のそれぞれに、任意のタイミングで履歴を作成できます。Scrivenerはイギリス出身のアプリですので日本語の扱いは理想的とは言えませんが、履歴のバージョンごとの違い(差分)を表示することもできます。
進捗管理をしたい
原稿全体の合計、また、1度のセッション(たいていは1日)で書きたい文字数を設定すると、達成度合いを表示したり、目標を達成したときに通知したりしてくれます。また、章ごとの文字数の合計も計算できます。ほかにも、いつ何文字増えたかという集計が履歴として記録されます。CSVで出力できるので、Excelでグラフ化もできます。ただし、日本語の文章で期待するような厳密な文字数ではないので、概略として受け止めるのがよいでしょう。
バックアップの作成なんて忘れたい
Scrivenerでは、作品を書き始めるときに保存する必要があるので、名称未設定で保存しないまま書くことはありえません。執筆中は、2秒間操作がないと自動的に上書き保存します。アプリを終了するときは全体のバックアップも作成し、4段階まで古いものを保管します(カスタマイズ可能)。バックアップ先をクラウドストレージに設定すれば、たとえマシンが故障してもクラウドには残ります。
アプリがなくなっても原稿は残したい
内部的には、すべてのテキストは一般的なRTFファイルです。アプリ固有の形式ではないので、たとえ今日Scrivenerが使えなくなっても、RTFファイルの原稿はいつでも取り出せます。