新聞や雑誌の連載小説のように、掲載ごとに話数を区切る形式をとる小説を執筆するためのScrivenerプロジェクトのサンプルファイルを作成しました。具体的には、「小説家になろう」などの小説投稿サイトの原稿を執筆することを想定しています。
このファイルでは、所定の書き方をしてコンパイルすることで、次の機能を利用できます。
- 選択した資料用フォルダに応じたテンプレートを使って新規テキストを作成します。
- 段落先頭に字下げを挿入します。
- タイトルに話数を自動挿入します。話数を付けない場合にも対応します。
- 1話の中での話題転換を示すマークを自動挿入します。
- ルビを使うときに、青空文庫式の表記で原稿を書くと、HTMLのrubyタグや、pixivなどの独自式の表記へ自動変換します。
動作要件など
- 現在のバージョン:ver.2.0.0
- 配布場所:当サイトのフォーラム「向井領治の著書のアフターサービス」よりダウンロード(フォーラムへ参加するには無料のメンバー登録が必要です。→フォーラムについて)
- 料金:無料
- 動作保証:なし 自己責任でご利用ください
- 動作要件:Scrivener 3.x for Windows Beta RC11(執筆はMac版3.x betaおよびiOS版1.xでも可)
- 再配布:不可
- 改変および改変したものの配布:可
- プロテクト:なし
以下に機能を紹介します(付属ドキュメントの抜粋)。カスタマイズ方法は付属ドキュメントで紹介しています。
資料用テンプレート
バインダーの「資料」→「登場人物」フォルダを選択してから[プロジェクト]→[新規テキスト]を選ぶと、それぞれ、「テンプレート」→「登場人物用テンプレート」から新しいテキストを作成します。
同様に、バインダーの「資料」→「場所」フォルダを選択してから[プロジェクト]→[新規テキスト]を選ぶと、それぞれ、「テンプレート」→「場所用テンプレート」から新しいテキストを作成します。
通常、テンプレートを使って新しいテキストを作るときは、[プロジェクト]→[テンプレートから新規ドキュメント]以下を選ぶ必要がありますが、通常のメニュー操作、または、Ctrl+Nキーで作成できます。これにより、登場人物や場所の設定を新しく作成するときの手順が速やかになります。
段落先頭に字下げを挿入
コンパイル時に、段落先頭に字下げの全角スペースを1個挿入します。これにより、全角スペースの入れ忘れを防ぐとともに、不統一を防ぐこともできます。
原稿の本文に字下げのスペースを入れる必要はありません。ただし、もしもスペースを入れてしまっても、コンパイル時には無視される(全角スペースを挿入しない)だけですので、スペースが2個になってしまうことはありません。
逆に、意図的に段落先頭にスペースを入れたい場合は、自由な個数を入れてかまいません。
また、商業ベースの文芸作品の一般的なルールにならい、段落の先頭が以下のいずれかの文字であるときは、字下げを行いません。
< 「 『 ( 《
次の図はコンパイルした結果の例です。
自動話数カウント
掲載1回分の原稿は、「原稿」フォルダの直下に作成したフォルダへ収めてください。プロジェクトファイル内のサンプル原稿では「プロローグ」「朝」「昼」などが掲載1回分にあたります。
次の図はサンプル原稿をコンパイルした例です。バインダーでは「朝」とだけ記入したフォルダが、「#第1話 朝」と出力されています。
1回分の中の区切り用の記号
掲載1回分の原稿の途中で話題を転換するときは、バインダの第2階層にフォルダを作って原稿を収めてください。コンパイルすると「(空白行)(全角スペース3個)●(空白行)」として出力されます。
なお、区切り用フォルダのタイトルと本文は出力されません。よって、読者には見せない作業用のサブタイトルをフォルダに書いてもかまいません。
次の図はサンプル原稿をコンパイルした例です。バインダーでは「区切り用フォルダ」と記入したフォルダが区切り記号で置き換えられています。
話数を付けないエピソード
「プロローグ」「エピローグ」のように、「第N話」のような話数を付けたくない(話数としてカウントしたくない)エピソードは、次の手順で設定を変えてください。
(1)話数のフォルダをクリックします。たとえば「プロローグ」フォルダを選びます。
(2)[ナビゲート]→[インスペクター]→[Custom Metadata]を選び、「Section type」を「見出し-話数なし」へ変更します。
次の図はサンプル原稿をコンパイルした例です。「プロローグ」には話数が付けられていません。
ルビの書き方
原稿では、ルビは次の書式で表記してください。各投稿サイトの仕様は無視してください。記号はすべて全角です。
|ルビをつけたい文字《ルビの文字》
次の文は、実際に使用した例です。
(例)グループルビの例:
『考えながら書く人のための|Scrivener《スクリブナー》|入門《にゆうもん》』
(例)モノルビの例:
著者は|向《むか》|井《い》|領《りよう》|治《じ》です。
この書式は青空文庫のものと同じですが、縦棒の省略は許容していません。なお、文芸書では一般的に、ルビに拗音は使いません。
投稿先に応じたルビ表記変換
青空文庫式で表記したルビは、コンパイル時に適切なフォーマットを選ぶことで、投稿先に応じて変換します。以下の手順でコンパイルを実行してください。
(1)「Compile For:」では、「印刷」「PDF」「Plain Text」のいずれかを選びます。
(2)「Formats」では、目的に合わせていずれかのフォーマットを選びます。
- 「投稿サイト用v2(HTML)」:青空文庫式で記述したルビを、HTMLタグへ変換して出力します。
- 「投稿サイト用v2(青空文庫式)」:ルビを青空文庫式で記述する投稿サイトへ投稿するときに選んでください。この書式は以下のサービスで使われています。
暁 エブリスタ カクヨム 小説家になろう ツギクル 野いちご ノベマ! ノベルアッププラス NOVEL DAYS ハーメルン ベリーズカフェ 魔法のiらんど LINEノベル - 「投稿サイト用v2(pixiv)」:青空文庫式で記述したルビを、pixiv式へ変換して出力します。
- 「投稿サイト用v2(アルファポリス)」:青空文庫式で記述したルビを、アルファポリス式へ変換して出力します。
- 「投稿サイト用v2(ノベルバ)」:青空文庫式で記述したルビを、ノベルバ式へ変換して出力します。
- 「投稿サイト用v2(fujossy)」:青空文庫式で記述したルビを、fujossy式へ変換して出力します。
- 「投稿サイト用v2(丸括弧)」:青空文庫式のタグを削除し、ルビを丸括弧で囲んで出力します。ルビ機能をサポートしない投稿サイトへ投稿するときに選んでください。
カスタマイズ・FAQ
サンプルファイル同梱のFAQでは、以下の手順を紹介しています。
- 資料用テンプレートの内容を変えたい
- コンパイル方法を改造したい
- 字下げしない文字を変えたい
- 1話分のみを出力したい
- 話中の区切り記号を変えたい
- 話数の表記を変えたい
- 各話タイトルの記号を変えたい
- 各章の文字数を調べたい
ダウンロード
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