Scrivener for iPadユーザーのためのキーボード選び──(4)キー配列と対応OS

今回は、おそらくキーボード選びで最大の悩みどころになる、キー配列の話です。「US配列とJIS配列」、「対応OS」の2つがポイントです。

最初に結論を書いておくと、「US配列ベースのものを選ぶ」「iPad対応と明記されているものを選ぶ」というだけです。ただし、実際の製品は多種多様で例外も多いので、その背景も知っておくと製品選びに役立つでしょう。個別製品のレビューでは、これらのことは踏まえているものとして進めます。

キー配列は使い勝手に強く影響するため、とくに注意したいところです。しかも、おおまかな仕様は製品紹介のWebページなどでわかるものの、小型になってキーの数が減るほど製品特有の仕様が多く、単に「iPad対応」とされているだけで使い勝手がはっきりしない場合や、「iPad対応」と称しているのに実はiPadで使うことは後まわしに設計されているように思える製品もあるので、購入前にできるかぎり調査したいものです。

なお、話が複雑になるので、ここでは日本語ローマ字入力のことだけを考えます。かな入力については扱いません。

【チェックポイント】配列はUSベースであるか

日本で一般的に販売されているキーボードのキー配列は、「日本語JIS配列」(以後単に「JIS配列」)と呼ばれるものと、「英語配列」(以後「US配列」)と呼ばれるものに分けられます。世界中には多くの言語があるのでそれ以外の配列もありますし、同じ日本語でも一般に「親指シフト」と呼ばれる「NICOLA配列」などもありますが、一般的な量販店で購入できるのは「JIS配列」と「US配列」のどちらかで、そのほとんどが前者です。

なお、US配列のキーボードでも日本語の文章を入力することはできます。たいていの場合は複数のキーを同時押しして代用するため操作はやや面倒になりますが、扱えないわけではありません。たとえば、WindowsでUS配列のキーボードを繋げたときは「全角/半角」キーがありませんが、「Alt」+「`バッククォート」キーで代用できます。

製品写真が見やすく違いがわかりやすい例として、USB接続の製品ですが、東プレ「Realforce」の最も基本的なモデルを見比べてみてください。

JIS配列とUS配列では、AからZの文字キーや、(テンキーでないほうの)1~0の数字キーは共通です。一方、Shift+数字キーで入力する記号類や、Pキーの右側にある記号類は、大きく違うものがあります。Scrivenerユーザーとしてとくに注意したいのは、「」鉤括弧、()丸括弧でしょう。内容によっては、@アットマーク、&アンパサンド、:コロン、;セミコロン、+プラス、=イコールなどにも注意が必要かもしれません。また、US配列ではEnterキーのサイズが小さくなるので、間違えてバックスラッシュキーを打ってしまうことを嫌ってJIS配列を選ぶ方もいます。

JIS配列とUS配列を見分けるには、製品仕様を調べるよりも、製品写真を見て「@」キーの位置を調べるほうが簡単です。「@」キーが「P」キーの右隣にあればJIS配列、「2」キーと兼用(Shift+2)であればUS配列です。実際の製品では細かい違いがある場合も見られますが、アルファベット、数字、記号類のキーの位置は、US配列またはJIS配列の2つに大きく分けられ、そのどちらかをベースにしています(なお、Controlキーなどの機能キーはまた別の話になります)。

ここまでのことを踏まえて、次に、iPadで使うためのキーボードを選ぶポイントを紹介します。

まず、「iPad専用品」、あるいは、「iPad対応であり、1台だけをつなぐことを前提とする製品」であれば、キー配列も専用品として設計されているはずですので、キーに印字されている文字がそのままiPadに入力されるはずです。たとえばApple製品がそうですが、ここではとりあげません。

MacやWindowsにキーボードを繋げる場合は、JIS配列とUS配列のどちらを使ってもかまいません。たいていは自動的に認識しますし、誤認識されても手動で設定を変えられます。つまり、キー配列の違いを、OS側で吸収できます。

一方iPadで使うキーボードは、原則として、US配列ベースの製品を選ぶ必要があります。原則としてサードパーティー製のキーボードはすべてUS配列として認識され、設定を変更できません。つまり、キー配列の違いを、OSで吸収できる仕組みになっていません。

もしも、JIS配列のキーボードをiPadと繋げて「@」と印字されているキーを押すと、@アットマークではなく、US配列で同じ位置に配置されている「鉤括弧が入力されます。@を入力するには、US配列で「@」キーがある位置に置かれている「Shift」+「2」キーを押す必要があります。つまり、キーボードに印刷されている文字と、そのキーを押したときに入力される文字が異なってしまいます。よって、一般に「iPad対応」として販売されているキーボードは、ほとんどがUS配列であるか、US配列をベースにしています。

しかし、ほとんどのユーザーは日本語の文章を入力するためにキーボードを使うのですから、各メーカーは「日本語ユーザーのために、US配列にしか対応しないiOSやiPad OSに対応する方法」を工夫しています。これは製品によってさまざまな方法があるので、商品説明を精読する必要があります。メーカーによっては取扱説明書のPDFを公開しているので、購入前に読んで調べておきましょう。

なお、一部の製品では独自の工夫を加えているので、JIS配列では絶対にだめだというわけではありません。また、製品紹介の写真はUS配列であっても、実際に販売されている製品はJIS配列という場合があるので、注文するときはよく注意する必要があります。

【チェックポイント】iPad対応品か

一般に販売されているキーボードは、Windows用、Mac用など、対応OSが指定されています。実際の製品では対応OSとキー配列と組み合わせて、「Windows用で、JIS配列」「Mac用で、US配列」のように分けられます。

Windows用のキーボードには、「Win」「全角/半角」「変換」「無変換」キーのように、Windowsのみで使うキーがあります。また、Mac用のキーボードには、「Command」「かな」「英数」キーのように、Macのみで使うキーがあります。原則としては、Windowsで使うにはWindows用のキーボード、Macで使うにはMac用のキーボードを使う必要があります(あくまでも原則です)。

同様に、iPadで使うのであれば、「iPad対応」とされているキーボードを選ぶ必要があります。iPadやmacOSに特有のキーがあればiPad対応が配慮されている製品と推測できますが、念のために製品仕様で確認しましょう。メーカーが正式に対応しないOSで利用した場合は、サポートを受けられないからです。

ただし、「iPad対応」と書かれていても安心はできません。何をもって「iPadに対応する」と称するかはメーカーの判断によるからです。

iPad専用品の場合は何も心配する必要はないはずですが、複数のOSに対応する製品では、iPad OSへの対応が後回しにされている場合があります。つまり、「iPad対応を第一に考慮した製品」もあれば、「Windows対応をベースにしたうえで、補助的にiPadに対応した製品」もあります。これもまた使い勝手に大きく影響する場合があるので、購入前によく調べておきたいポイントです。

なお、iOSとiPad OSはこの点においてはほぼ同じようですので、「iOS対応」とされていればiPadでも問題なく使えるでしょう。

機能キーの機能は入れ替えられる

キー配列や対応OSの話に関連して、iPad OSでの外付けキーボードの扱い方について紹介します。

外付けキーボードをつなげると、「設定」アプリの「一般」→「キーボード」の中に「ハードウェアキーボード」という項目が追加されます(つなげていないときは項目自体が表示されません)。この「ハードウェアキーボード」の中にある「修飾キー」以下のメニューを使うと、外付けキーボードの一部の機能キーに対して、別の機能を指定できます。

以下の4つのキーに対しては、それぞれの機能を任意に割り当てられます。

  • Caps Lock
  • Command
  • Option
  • Control

たとえば、「Caps Lock」キーに対して、「Control」キー相当の機能を割り当てられます。組み合わせは自由ですので、Controlキーを複数設定することも、Caps Lockキーを1つも設定せずに済ませることもできます。

次の図は、Optionキーに対してCommandキーの機能を割り当てているところです。

(なお、環境によっては「Esc」および「地球儀」キーの機能も割り当てられます。ただし、物理的なEscキーに対して割り当てる機能は変更できません)

よって、上記4つのキーについては、OS側で機能を入れ替えられるので、キーボード製品のキー位置が好みと合わなくても、気にする必要はありません。たとえば、「ControlキーはAキーの左にほしいのに、Caps Lockキーがある」場合は、物理的なCaps Lockキーの機能をControlキーへ入れ替えれば解決できます。この機能はOSレベルで対応しているので、キーボードのメーカーなどを気にする必要はないはずです。筆者がこれまで試した製品で、この機能に対応しないものはありませんでした。

また、この設定はキーボードごとに適用されます。よって、「製品AではCaps LockキーとControlキーを交換」「製品Bでは交換しない」という使い方ができます。

ただし、上記4つ以外のキーは入れ替えられないので、キーボードの機能をそのまま使うことになります。たとえば、iPad・Mac用の「かな」「英数」キーは入れ替えられません。また、Windows用キーボードにある「変換」「無変換」キーなどのWindows専用キーは、キーボード側でキーの機能を入れ替える機能がないかぎり、iPadでは押しても機能しません。

(つづく)

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