HowTo|EvernoteのノートをScrivenerのカードとして整理する

Evernoteからカードインターフェースが失われて久しいですが、Scrivenerには個々のテキストをカードで表示するコルクボード表示があります。Evernoteで作成したノートをScrivenerへインポートして活用する方法を紹介します。ただし、インポートする内容は実質的にテキストのみで、画像や音声などの添付ファイルは扱えません。

似た方法は『考えながら書く人のためのScrivener入門』の最初の版(Mac向けVer.2対応)でも紹介しましたが、その後の版では割愛していました。このたび『ライティングの哲学』(星海社新書)を読んであらためてその手法を思い出したので、ここに紹介する次第です。

なお、無料の記事ですので、手順は概略のみでご容赦ください。動作確認した環境は、Scrivenerは最新バージョンですが(macOS版はVer.3.2.3、Windows版は3.1.1)、macOSは筆者が普段使っている10.15.7、WindowsはWindows 10です。OSが新しくても手順は同じだと思いますが、インポートした結果は多少異なるかも知れません。

おおざっぱな手順1 Evernoteでノートを書き出す

Evernoteを開き、目的のノートを選び、エクスポートします。複数のノートを選択しておくと、1度に複数のノートをエクスポートできます。今回は3つのノートを選択しています。ノートブックを分けたり、検索したりして絞り込んでおくとよいでしょう。

エクスポートのダイアログでは、「ファイル形式」で「複数のWebページ」を選びます。もしも「単一のWebページ」を選ぶと、複数のノートが1つのHTMLファイルに統合されます。

おおざっぱな手順2 Scrivenerでインポートする

Scrivenerで目的のプロジェクトを開き、バインダーで「「ドラフト」フォルダ以下ではない場所」を選択してから、ノートをインポートします。Macでは[ファイル]→[インポート]→[ファイル…]、Windowsでは[ファイル]→[Import]→[ファイルを選択]を選びます。

ファイル選択のダイアログが開いたら、ノートのHTMLファイルを選びます。1度に複数のHTMLをインポートするには、このダイアログのなかで選択します。ただし、「Evernote_Index.html」は目次のファイルなので、インポートする必要はありません。ここで選択するのが面倒であれば、いったんすべてのHTMLファイルを読み込んで、目次はあとで削除してもよいでしょう。

インポートが完了すると、1つのHTMLファイルは1つのファイル(バインダーアイテム)として扱われます。また、文字のサイズ、色、マーカーなどの装飾もおおむね維持されます。ただし、エディターのフッターに「ウェブアーカイブドキュメント」と表示されていることからもわかるとおり、内容を編集することはできません。また、画像や音声などの添付ファイルはインポートされません。Evernoteで付けたタグも無視されます。

コルクボード表示へ切り替えると、バインダーアイテムが1つのカードとして表示されます。内容は編集できませんが、ラベルやキーワードなどのメタデータは付与できるので、Scrivenerの機能を使って分類できます。コルクボード表示でカードを自由な位置へ置く機能は、Windows版ではVer.3から対応しています。

インポートの設定

HTMLをインポートするときの設定は、オプション(アプリの環境設定)として選べます。この設定はmacOS版とWindows版で異なります。

ウェブアーカイブとして読み込む(Windowsではテキスト変換をオフにする)と、元の書式設定をできるだけ保ってインポートします。ただし、インポートした内容は編集できません。

テキストとして読み込むと、インポートしたノートを編集できますが、ほとんどの書式設定は崩れます。OSによって変換エンジンが異なるらしく、とくにmacOS版では崩れ方が大きいです。

また、どちらの方法を選んでも、画像や音声などの添付ファイルへのリンクは実質的に失われます。

インポートするときに変換してしまうと取り返しがつきません。まず変換せずにインポートし、それを見ながら入力し直すか、複製してから[ドキュメント]→[変換]→[ウェブページからテキストへ](Windowsでは[ドキュメント]→[書式の変換]→[Webページからテキストへ])を選んでテキストへ変換するのがよいでしょう。なお、この機能の変換結果もmacOS版とWindows版で異なります。

別の方法(Webページとしてインポートする)

EvernoteをScrivenerへ取り込む別の方法としては、Scrivenerが持っているWebページのインポート機能を使うものがあります。おおまかな手順は次のとおりです。

1)Evernoteで目的のノートを選び、共有機能を使って「共有用リンク」をオンにします。このとき、「リンクを知っていれば誰でも閲覧可能」に設定します。サインインが必要な設定ではScrivenerからのインポートは難しいようです。

2)「共有用リンク」のURLをコピーします。

3)Scrivenerで目的のプロジェクトを開き、「ドラフト」以外のフォルダを選択してから、[ファイル]→[インポート]→[ウェブページ…](Windowsでは[ファイル]→[Import]→[Webページ])を選びます。

4)コピーしておいた「共有用リンク」が自動的に入力されているはずですので、確認してからインポートを実行します。

5)ノートの分だけ1)から4)を繰り返します。

この方法では、階層付きの箇条書き、表、チェックリスト、画像も読み込めます。

ただし、Evernoteでの共有を終了すると、Scrivenerからノートを参照できなくなります。実際にはローカルにデータがダウンロードされていないのでしょう。操作の点でも、ノートの数が多いときは実用的ではありません。用途は限定されると思いますが、読み込み結果を重視するのであれば、この方法も覚えておきましょう。

なお、HTMLファイルを読み込むのは同じなのに、ローカルにあるファイルを読み込むときと、インターネットから読み込むときで結果が異なるのは理解に苦しみますが、そういう仕様であるようです。

この手法の意義

Evernoteで作成したノートをScrivenerへインポートすると、任意の位置へ配置できるコルクボード表示や、任意の順序で並べ替えられるアウトライン表示で扱えるようになります。また、Scrivenerの機能を使って分類したり、ノートを見ながら新しくカードを作成したり、もちろん原稿を書くこともできます。

Evernoteはつねに何らかの条件でソートしておく仕様であり、自由な順番に並べ替えることができません。Ver.10で仕様が大きく変わって長くたちましたが、カード表示の復活は望めないようです。

Evernoteは筆者自身も長年使っていますが、カードを使った情報整理法は数多くあるのに反してカード表示はなくなり、モノっぽさがいっそう失われていく方向性は非常に不満です。確かに、「任意の位置・順序に置くことができる」機能は、マルチデバイス対応の点では不利ですが、モノっぽさの点では代えがたいものがあります。多くのユーザーがEvernoteを倉庫がわりにしてしまっているのも、ベンダーが標榜するような生産の場所にならないのも、モノっぽさがないことが理由の1つであるように思われます。

とはいえ、ノートを取る方法や対応プラットフォームの多様さ、FastEverのようなサードパーティーアプリの存在は、いまでもEvernoteを選ぶ理由として無視できません。

対して、iOS版があるとはいえ、Scrivenerのモバイル対応やクラウド対応は限定的なものです。

「Evernoteでノートを取り、Scrivenerで整理し、原稿を書く」というワークフローは、両者を補完する方法として悪くないものと思います。原稿は待ってくれませんし、執筆欲も止めるべきではありません。ならば、特徴あるツールを組み合わせて機能を補完するほうが、有限の時間を生かす方法としては現実的でありましょう。

惜しむらくは、画像や音声などの添付ファイルを扱えないことです。Evernoteの特徴の1つは、1つのノートにテキストも画像も音声も雑に放り込めることですから、この点は引き続き課題とします。

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